【11月6日 CNS】2023年の公演市場は急激に拡大し、多くの都市では週末がコンサートで「占拠」されている。コンサートの花が咲き、ファンたちは多くの新しい「遊び方」を生み出している。

 例えば、「コンサートを開くのに自分が歌う必要はなく、ファンたちが合唱してアイドルに歌ってあげる」ということがある。最近、歌手の伍佰(Wu Bai)はファンたちが「彼の代わりに歌ってあげる」ことで頻繁に話題に上がっており、ネットユーザーから無数の「ネタ」を作られている。彼が「それは事実ではない、私は歌っているよ」と説明しても、彼以外は誰も気にしていないようだ。何せ、コンサートの終了後も現場の観客の歌声は響き渡り続けているのだ。

 正向文化娯楽の創設者、丁子高(Real Ting)氏は「多くのポップ・ミュージックの創作は日常生活のエピソードから生まれ、共感を呼びやすく、観客たちの大合唱につながっているのだ」と述べている。   

 大象音楽集団(Image Music Group)のCEO、李思睿(Li Sirui)氏は、ソーシャルメディアの普及により観客の視点がコンサートの一部となり、よりインタラクティブになり、歌手と一緒になって歌うといった現象が多くなっているとみている。

「観客が本当に何度も曲を聴きこむことで、一緒に歌うことが可能になる。観客が本当に共感し、コンサートの現場で一緒に歌うようになる」と、哇唧唧哇音楽(WAJIJIWA entertainment)事業センターのゼネラルマネージャーの辛志宇(Xin Zhiyu)氏は述べている。辛氏は「一部の若者にとって大合唱は、実は感情を解放する一つの方法だ」と分析している。

 一緒に歌うこと、つまり合唱は、観客とパフォーマーの相互のやりとりがますます強くなっていることの表れだ。そして、ふれあいの方法として、一部の人びとは特別に手旗を作り、歌手に伝えたい言葉を書き込だり、特定の服装やアクセサリーを身につけて歌手とふれあう等、両者のコミュニケーションの方式も多様化している。

「音楽を聴き、雰囲気を感じ、ストレスを発散することが、観客がコンサートを見に行く主なニーズとなっている」と、首都師範大学(Capital Normal University)音楽学院の李姗(Li Shan)准教授は述べている。李准教授の見解では、十数年前と比べ、現在の若者はより大胆で、自己表現をすることをより強く望んでいるため、合唱や特定の服装でコンサートを見に行くなどの現象が出てきている。

 これに対して、パフォーマーと主催者は新たなパフォーマンスの形式を探求している。  
 
 李准教授は、将来的には、インタラクティブなパフォーマンスがますます観客主導型になっていく可能性があるとみている。  
 
 丁氏は、コンサートは単なるエンターテインメントではなく、パフォーマーによる音楽のメッセージの伝達でもあると考えている。曲が中心であり、舞台芸術、造形芸術などの各要素の協力により、音楽のストーリー全体を観客の前に展開させていくものだと語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News