【10月27日 AFP】ヤコブ・バイスマン(Yaakov Weissmann)さん(83)は4歳のときに非ユダヤ人家族にかくまわれ、第2次世界大戦中(World War II)のホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)を生き延びた。

 今月7日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)がイスラエルを襲撃したときは、ハマスが侵入した境界からわずか500メートルの村に住みながら攻撃を免れた。

 バイスマンさんは朝6時ごろ、ロケット弾が発射される音を聞いた。「ロケットの音が響くのは、今に始まったことではない」。人口800人のネティフハアサラ(Netiv Haassara)村は、パレスチナ側から飛んでくるロケット弾には慣れている。

 拳銃を手に取ると、訓練でいつもやっているように妻を連れてシェルターに入った。「その時、機関銃の音を聞いた。敵が侵入してきたんだと分かった」

 バイスマンさんは深い悲しみに包まれた。「銃声が聞こえるとすぐに、人が死ぬことが分かるからだ」

 シェルターから出て、同じ村に住む子ども、孫、ひ孫ら23人の家族全員が生きていることが分かると大きく安心した。

 村の住民は20人が殺された。知人もいた。

 そのうちの5人は武器を持ったまま死んだ。彼らがさらなる流血を防いでくれたとバイスマンさんは言う。

 時間がたつにつれ、ハマスによる襲撃の規模と残虐さが明らかになってきた。

 被害が最も大きかった村では一軒一軒の家の中で、乳児も含めた家族が皆殺しにされ、そのまま放火された家もあった。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は「ホロコースト以来の残虐さ」だと非難した。

 米国のロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官は、ハマスの戦闘員はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」とは「別次元の邪悪さ」を持っていると述べた。