【10月27日 AFP】イングランドラグビー協会(RFU)は26日、南アフリカのボンギ・ムボナンビ(Bongi Mbonambi)がイングランドのトム・カリー(Tom Curry)に人種差別的な暴言を浴びせた疑惑が証拠不十分と判断され、28日のW杯フランス大会(Rugby World Cup 2023)決勝に出場することを認められた件について、「深く失望している」とのコメントを発表した。

 南アフリカが16-15でイングランドに競り勝った前週のW杯準決勝では、ムボナンビがカリーに「この白人」という言葉に続いてののしり言葉を吐いた疑惑が浮上した。

 しかしながら、ワールドラグビー(World Rugby)はこの日、「試合映像や音声、両チームからの証拠など、すべての入手可能な証拠を検証した結果、現時点では処分を進めるには証拠が不十分だと判断した」と説明し、「新たな証拠が見つからない限り、本件は終結したものとみなされる」とした。

 これに対してRFUは、昨年11月に行われた両チームのテストマッチでも、ムボナンビがカリーに同様の暴言を吐いていたと主張。「ワールドラグビーによる判断に深く失望している」と述べ、今回の件を独立規律委員会が評価する機会が奪われたと批判した。また、カリーがこの問題を公にしたことで、本人と家族がソーシャルメディアで「卑劣な」嫌がらせを受けていると明かし、「いかなる嫌がらせも容認できない。それはラグビーの核となる価値に反する」と非難した。

 その一方で、27日にアルゼンチンとの3位決定戦に出場するカリーは、スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)の主将シヤ・コリシ(Siya Kokisi)からサポートを受けた。

 コリシはこの日の記者会見でカリーと連絡を取ったことを明かし、同選手をリスペクトしているとした上で、「自分に対してなら構わないが、家族が巻き込まれたら話は別だ」とし、「彼を支援し、彼のことを思っているという気持ちを伝えた」と語った。(c)AFP/Pirate IRWIN