【10月25日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)でイスラエル軍の攻撃を受け、3歳のアダムちゃんと9歳のシャムちゃんが殺されたのは、2人の誕生日だった。アイマン・アブシャマラさん(34)はこの攻撃で2人の子どもだけでなく妻も失った。

 AFPの取材に応じたアブシャマラさんは24日、避難先の建物が空爆されたと語った。自身は紙一重の差で助かったという。

 アブシャマラさん一家はガザ市内の爆撃から逃れ、南部ラファ(Rafah)に住む親族の家に身を寄せていた。しかし、その建物がイスラエル軍に爆撃された。妻と子ども2人のほか、親族4人とその子ども2人も命を落とした。

 イスラエル当局によると、イスラム組織ハマス(Hamas)による7日の越境攻撃では民間人を中心に1400人以上が死亡した。一方、ガザ保健当局は、イスラエルの報復爆撃に伴う死者は5000人を超え、そのうちの2000人が子どもだとしている。

「バラバラになった息子の体は、青い袋に入れられた。シャムの体はすっかり焼けていた」とアブシャマラさんは声を詰まらせた。「10月21日はシャムとアダムの誕生日だったのに、それが2人の命日になってしまった」

■妻のおなかには女の子が

 妻のダリーンさん(28)は3人目を妊娠しており、もう少しで臨月を迎えようとしていた。女の子で、メッカと命名しようと夫婦で決めていた。

「妻はバルコニーで洗濯物を干していた時に爆撃を受けた。3階にいた妻は階下の隣の家に吹き飛ばされた」

 アブシャマラさんは、11日間止まっていた給水がようやく再開されたため、屋上に上がってタンクの水が満タンになっているのを確認して階段を下りている途中だった。

 慌てて駆けつけると、ダリーンさんが床に倒れ、変わり果てた姿になっていた。「はいていたズボン」でダリーンさんだと分かったという。

「おなかの子どもと一緒に死んでしまったと思ったが、妻はまだ生きていた」

「アイマン、メッカを私のおなかから出して、育てて」というのが妻の最期の言葉だったと語った。

 ダリーンさんの遺体が収容された病院で、医師に「赤ん坊を助けてくれ」「それが妻の最期の願いだ」と懇願した。

 医師は帝王切開を行い、赤ちゃんを取り出すことに成功した。生まれたばかりの小さな赤ちゃんは、ラファにある別の病院の小児科に緊急搬送された。