【10月22日 AFP】イスラエル軍は22日、レバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)による攻撃の激化が「レバノンを戦争に引きずり込む」恐れがあると警告した。イスラエルとヒズボラの交戦による紛争のエスカレーションが懸念されている。

 イスラエル軍のヨナタン・コンリカス(Jonathan Conricus)報道官は、「ヒズボラがレバノンを戦争に引きずり込んでいる。レバノンがこの戦争から得るものはなく、多くを失うだろう」と述べた。

 ヒズボラは、7日にイスラエルを攻撃したパレスチナのイスラム組織ハマス(Hamas)と同盟関係にある。イスラエル当局によると、この攻撃で1400人以上が死亡。大半が民間人だった。イスラエルは報復としてガザ地区(Gaza Strip)に絶え間ない攻撃を開始。ガザ保健当局によれば、同地区ではこれまでに4300人以上が死亡した。こちらも大半は民間人とされる。

  イスラエルは同時に、北部国境地帯でヒズボラとも交戦している。

 コンリカス報道官は、ヒズボラが紛争をエスカレーションさせていると非難。「レバノン国は、ガザのテロリストのために自国の繁栄と主権を危うくすることを本当に望んでいるのか」「これは、レバノン当局が自問自答すべき問題だ」と続けた。

 今回の交戦では、ヒズボラ側は戦闘員4人、イスラム組織イスラム聖戦(Islamic Jihad)の構成員1人が死亡した。イスラエル側も、ヒズボラの対戦車攻撃で兵士3人が負傷、うち1人は重傷を負った。タイ人の農場労働者2人も負傷した。

 イスラエルは北部の集落に避難勧告を出している。一方、レバノン側でもイスラエル国境地帯の住民が南部ティール(Tyre)へと避難している。

 ヒズボラナンバー2のナイム・カッセム(Naim Qassem)氏は、この紛争へ関与を強める可能性があると警告。「はっきりさせておく。事態が推移する中で、われわれのさらなる介入が求められる状況になれば、介入する」と述べた。

 イランの支援を受けるヒズボラは2006年にも、イスラエルと34日にわたり交戦。レバノン側は1200人以上が死亡、イスラエル側は160人が死亡した。レバノンの死者はほぼ民間人だったが、イスラエル側の死者は大半が兵士だった。(c)AFP