■社会の力学

 伝統上、マサイの男性はユーノートを終えないと結婚できず、花嫁となる女性は割礼を受けていなければならない。だが女性の割礼「女性器切除(FGM)」は2011年にケニアで禁止され、公式にはもはや実践も推奨もされていない。

「ライオンを殺さなくても、FGMを受けなくても、マサイになることはできる」とオドゥポイさんは語った。

 今では、ユーノートを待たずに結婚するモランもいる。「社会の力学が変わった。学校に行けば、そこで出会った女性と結婚することもある」とカリアさんは話した。「私たちは順応し、適応していく」

 ケニアに存在する45の部族の中で、人口120万人弱のマサイは10番目に大きく最も有名だ。伝統と文化を守ることはマサイとしての生き残りに直結する。

「近い将来、文化を実践できなくなるかもしれないというのが私たちの最大の不安」だとカリアさん。「商業化されているコミュニティーがある一方で、実践する方法を知っている文化の真の所有者は脚光を浴びていない」

 映像は8月撮影。(c)AFP/Simon VALMARY