【10月18日 AFP】イスラム組織ハマス(Hamas)が実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)では、イスラエルによる爆撃が絶え間なく続く中、病院が多数の市民の避難所となっていた。ガザ中心部の病院の攻撃はそうした中で起きた。

 17日夜のアフリアラブ(Ahli Arab)病院に対する攻撃では、ガザの保健当局によれば、少なくとも200人が死亡した。

 攻撃について、保健当局はイスラエルによるものと非難。一方のイスラエル軍は、ガザ地区のイスラム組織イスラム聖戦(Islamic Jihad)が撃ったロケット弾が原因だと主張している。

 保健当局によれば、この病院には数百人の病人や負傷者以外に、これ以前の空爆によって「自宅からの避難を余儀なくされた」市民も身を寄せていた。

 7日のハマスによる攻撃を受け、イスラエル軍はガザ北部から退避するよう市民に求める一方で、砲撃を続けている。ガザの病院は安全な避難場所だと信じて避難してきた人々で、中庭も廊下もあふれ返っていた。

 アフリアラブ病院が攻撃される前、南部ハンユニス(Khan Yunis)のナセル(Nasser)病院では、中庭で女性たちがパンを作り、洗濯物を干していた。その間も、救急車が次々に負傷者を運び込み、医師らが必死の救命処置を続けていた。

 マットレスが地面を覆いつくすように敷かれている。夜になると、家を失ったか、追われてきた人々が空爆のごう音と寒さの中で眠りに就こうとしている。

 ガザ最大のシファ病院(Shifa Hospital)周辺にも避難先を求めて数千人が集まっていた。

 そのうちの一人は、「こんな目に遭わなければいけないなんて、私たちが何をしたというのだろう。子どもたちが何をしたというのか」と嘆いた。「ほとんどの市民は武装グループには入っていない」

 世界保健機関(WHO)は、「どこの病院も限界に達しており、安全な避難場所を必死に探す市民であふれている」と指摘。AFPに対し、ガザの保健当局の統計として、「シファ病院だけで3万人以上が避難している」と述べた。

 WHOによれば、これまでに111か所の医療施設が攻撃され、医療従事者12人が死亡、救急車60台が標的となった。

 ガザ当局によれば、ハマスの攻撃以降、イスラエルの攻撃による死者は約3000人に上っている。ガザ北部からは約100万人がハンユニスをはじめとする南部に移動。北部には約10万人が残っている。

 イスラエル以外でガザ地区と外界を結ぶ唯一のルート、南部ラファ(Rafah)検問所のエジプト側では、支援物資を積んだ車列が待機している。しかし、エジプトは検問所を閉鎖したままだ。

 イスラエルは、ガザへの電気と水の供給を遮断した。給水は一部再開したが、一日の必要量のごくわずかしかない。

 ガザの病院では、死傷者数が増え続けている。既に数百人の子どもが死亡し、1万人に上る負傷者の多くが、今も残っている6か所の病院に詰め込まれている。

 医薬品の不足も危機的状況に拍車を掛けている。(c)AFP/Adel ZAANOUN