【10月21日 CGTN Japanese】中国で最近、「コーヒーよりも眠気が覚める」として酸素吸入による眠気覚ましが流行し、通販サイトでは酸素吸入製品が飛ぶように売れています。「酸素吸入」や「眠気覚まし」に関する話題を検索すると、酸素発生機や酸素タンクに関する多くのレビューを見つけることができます。

 通販サイトではさまざまなブランドの携帯型酸素ボンベが販売されていて、価格は十数元(1元=約20円)のものから数十元のものまであります。多くの製品は「酸素純度99%以上、高齢者、妊婦、学生などにおすすめ」と称し、販売台数が20万台を超えた製品もあります。

 酸素吸入には本当に眠気覚まし効果があるのでしょうか。ネット上では確かに効果があったという声がある一方で、何の役にも立たなかったとの声もあり、中毒症状を引き起こした人もいます。湖北省武漢市在住の劉さん(32)は最近、ネット上で大人気の「酸素吸入の神器」が気になり、ちょうど受験の準備でストレスが多く、睡眠不足だったことから、「眠気覚まし」効果を期待して携帯型酸素呼吸器を購入しました。1週間に2本を使い切ったところで、空せきや胸痛の症状が出ました。病院で検査したところ、気管支粘膜浮腫および散在するびらんが形成され、その中の一部の細胞浮腫は壊死し、周囲に繊維組織の増殖を伴い、肺型酸素中毒と診断されました。医師の診断によりますと、劉さんが1週間にわたり大量・高頻度の酸素吸入を行ったため、酸素蓄積が肺およびその他の組織の損傷に及んだということです。

 専門家によりますと、指先の脈拍酸素飽和度(SpO2)は通常97%前後で、酸素吸入の臨界値である93%を上回り、空気中の酸素含有量は十分で、ほとんどの場合、酸素不足にはなりません。一部の特殊な病気のある人を除き、酸素を吸う必要はなく、酸素を吸って覚醒して知性を高めるという主張は科学的な根拠がないばかりか、やみくもな酸素補給は、例えば酸素中毒など、体に一定の負担をもたらす場合もあります。上海交通大学医学院付属胸科医院呼吸内科の主任医師、李鋒氏によりますと、妊婦と高齢者に酸素吸入が必要かどうかは一概には言えません。妊婦にぜんそくやその他の疾患がなければ、酸素不足でない限り、酸素吸入は推奨しません。妊婦が高濃度の酸素を吸うと胎児の視力に問題を引き起こすこともあるためです。高齢者が慢性冠状動脈性硬化症や慢性閉塞肺などを患い、慢性的な酸素不足が生じた場合は、医師の指導の下で酸素を吸入することができます。健常者が酸素吸入でリフレッシュできたと感じるのは心理的な作用にすぎない可能性が高いということです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News