【10月16日 AFP】米イリノイ州当局は15日、イスラム教徒の6歳の少年と母親とみられる女性(32)が刃物で数十回刺され、少年が死亡した事件を受け、2人がいた住宅の大家の男を殺人およびヘイトクライム(憎悪犯罪)などの容疑で逮捕した。動機については、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)とイスラエルの紛争が関係しているとみている。

 14日に事件が起きたのは、シカゴ西方約64キロに位置する住宅。女性本人からの通報でウィル郡(Will County)保安官事務所の捜査官らが現場に急行し、寝室で「胸、腹部、両腕に複数の刺し傷」がある被害者2人を発見した。

 少年は26回刺されており、病院で死亡。女性は回復するとみられている。

 検視で少年の腹部から抜かれたのは、刃渡り約18センチのミリタリーナイフだった。

 保安官事務所は、「被害者2人が標的にされた理由は、イスラム教徒であり、中東で現在続いているハマスとイスラエルの紛争にあると断定した」としている。ただし、事件の詳細や2人の国籍には言及していない。

 一方、市民団体の米イスラム関係評議会(Council on American-Islamic RelationsCAIR)シカゴ支部は、少年は「パレスチナ系米国人」だとしている。

 当局は、大家のジョセフ・ズバ(Joseph Czuba)容疑者(71)を殺人と殺人未遂、憎悪犯罪の容疑で逮捕した。

 CAIRシカゴ支部の代表は会見で、入院中の女性が少年の父親に伝えた話として、同容疑者は玄関から来訪し、女性の首を絞めようとして、「おまえらイスラム教徒は死ね」と言ったと明らかにした。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は15日、女性の回復を祈るメッセージを発表するとともに、「このような恐ろしい憎悪犯罪は米国では許されない。宗教や信念、出自に関する恐怖からの自由という基本的価値観に反している」と表明した。(c)AFP