【10月10日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が、欧州までを陸・海路で結ぶ巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」を提唱してから今月で10年を迎える。国務院(政府)は10日に発表した白書で、同構想により世界各地で結んだインフラ事業の契約総額が2兆ドル(約300兆円)を超えたと発表した。

 白書には、一帯一路構想について「130か国以上が参加し、4000億ドル(約60兆円)以上の投資と2兆ドル以上の貿易をけん引している」と記されている。これはロシアやカナダの経済に匹敵する規模となる。

 またパートナー諸国は中国輸出入銀行(中国輸銀、China Eximbank)に対し、計3000億ドル(約45兆円)以上の債務を負っているとしている。1国当たりの債務額は平均24億ドル(約3570億円)と推定される。

 同構想をめぐっては長年、中国が巨額の融資によって、低所得国を「債務のわな」に陥れているとの批判が上がってきた。

 白書は債務額の多い国や金利などについては詳述していない。だが、「大幅に過小評価」されている可能性が高いとする指摘もある。

 米シンクタンク、アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)の中国部門グローバル・チャイナ・ハブ(Global China Hub)のニバ・ヤウ(Niva Yau)氏は「こうした隠れた債務に関する論文は幾つもあり、債務総額は8000億ドル(約120兆円)に上る可能性がある」と述べた。

 中国輸銀は、一帯一路構想全体の主要な輸送・エネルギー事業に融資し、アフリカから中央アジアまであらゆる地域で対外融資計画に関与している。

 パートナー諸国の多くは最近、計画にかかるコストに警戒感を強めている。先進国で唯一参加しているイタリアは先月、撤退を検討していると明かした。(c)AFP/Oliver HOTHAM