【10月6日 AFP】米国防総省は5日、シリアに駐留する米軍部隊に接近したトルコ軍の無人機を脅威とみなし撃墜したと発表した。米国とトルコはともに北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、両国間の緊張が高まる恐れがある。

 トルコは首都アンカラで起きた反政府武装組織「クルド労働者党(PKK)」による自爆テロを受け、シリア国内のクルド人勢力を攻撃していた。

 米国防総省のパット・ライダー(Pat Ryder)報道官によると同日未明、米軍の拠点が約1キロにあるシリア北東部ハサケ(Hasakeh)近郊の「運用制限区域(ROZ)」内外で空爆を実施していた複数の無人機を確認。

 数時間後に再び、トルコ軍の無人機1機がROZに現れ、米軍拠点から0.5キロ以内にまで接近したため、潜在的脅威とみなしF16戦闘機で撃墜したと述べた。ある米軍高官は、トルコ側には繰り返し警告したと述べている。

 ライダー氏によると、ロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官とトルコのヤサル・ギュレル(Yasar Guler)国防相はこの事態を受けて、「シリア北部における緊張緩和、および確立されている両軍の対話チャンネルを通じた衝突回避プロトコルと意思疎通を厳守することの重要性」を再確認した。

 米軍はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いの一環として、シリアに約900人規模の部隊を派遣。2019年にシリアからのIS追放に至る戦闘を主導したクルド人主導の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」と連携している。
 だがトルコは、SDFの主力となっているクルド人部隊を、トルコの反政府組織であり西側諸国からもテロ集団とされるPKKの一派とみなしている。(c)AFP/W.G. DUNLOP