【10月6日 AFP】フランスの展覧会に展示されているビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の人工知能(AI)は辛抱強い。だが、耳を切り落としたことについては一言あるようだ。

 AIゴッホはAIによくある怒ったような口調で「申し訳ないが誤解があるようだ。あなたは間違っている」と述べると「私が切り落としたのは耳たぶのほんの一部だ」と主張した。

 AIゴッホは、仏パリのオルセー美術館(Musee d'Orsay)で開催中の、大規模企画展の最後に展示されている。同展はゴッホがパリ北郊のオーベルシュルオワーズ(Auvers-sur-Oise)で過ごした、自殺するまでの最後の数週間に焦点を当てたもので、会期は2月まで。

 ゴッホは1890年、37歳の時に拳銃自殺を図り2日後に死亡した。

 だがモニター画面に現れたAIゴッホは21世紀のカウンセリング用語になじみがあるようだ。

 AIゴッホは「私はメンタルヘルスの問題を抱えていたが、オーベルシュルオワーズに移住したのは死にたいと思っていたためではない」と述べた。

 オルセー美術館に展示されている絵画約40点からも、死の直前までが特に多作だったことが分かる。「オーベルの教会(The Church at Auvers)」「カラスの群れ飛ぶ麦畑(Wheatfield with Crows)」、そして最後の作品「木の根と幹(Tree Roots)」など多くの名作がこの時期に作られた。

 AIゴッホには改善点も残っている。

 好きな色はと聞かれれば、黄色だとはっきりと答えられるが、フランス人記者が生前親交があったガシェ医師について質問したところ、名前を認識できなかった。

 AIを手掛けた仏スタートアップ、ジャンボマナ(Jumbo Mana)の代表は、AIゴッホは「フランス語を認識するが名詞を正確に理解するには今後も調整が必要だ」と話した。(c)AFP/Eric RANDOLPH