【10月2日 AFP】アゼルバイジャンのヒクマト・ハジエフ(Hikmet Hajiyev)大統領補佐官は9月30日、係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)からアルメニア系住民を排除するため「民族浄化」が行われているとのアルメニア側の主張を否定し、同地にとどまるか離れるかは自由だとの考えを示した。

 アゼルバイジャンは9月20日、ナゴルノカラバフで「対テロ作戦」を実施し、主権を回復したと発表した。これを受けてアルメニアのニコル・パシニャン(Nikol Pashinyan)首相は、アゼルバイジャンがアルメニア系住民を排除する民族浄化を行っていると再三非難。30日には、住民約12万人のうち10万人超がアルメニアに逃れてきたと述べていた。

 ハジエフ氏はAFPのインタビューで、「われわれが民族浄化やジェノサイド(集団殺害)を行ったとする主張は受け入れ難い」「30年前、われわれに対して民族浄化を行ったのはアルメニアの方だ」と主張。「しかし、同じやり方をするつもりはない。民間人への暴力や残虐行為は一切行われていない。住民自身が証言していることだ」と話した。

 さらに、ナゴルノカラバフの住民について「われわれは常にアゼルバイジャン国民と見なしてきたが、不幸にも、非合法の分離主義勢力が彼らとの直接対話を許さなかった」と説明した。

 アルメニア系の分離派当局は9月28日、「政府機関」を解体し、ナゴルノカラバフのアゼルバイジャンへの正式な再統合を認めることに同意した。

 アルメニア側は、アゼルバイジャンが不法に住民を逮捕しており、住民は報復を恐れて避難していると主張している。

 ハジエフ氏は、「戦争犯罪」に関与した容疑で当局が「5~6人」を拘束したとする一方、「銃を置けば自由になれる。人々は自らの意思でアルメニア行きを選んだ」と指摘。

「大多数が『アゼルバイジャンの国旗の下では生きていけない』と言っている」のは「理解できるし、尊重する」とした。その上で、アゼルバイジャンの市民権を受け入れる場合は権利と安全を保証し、地方自治体としての体制の下、宗教・文化に関する権利も確約すると述べた。(c)AFP/Daphne ROUSSEAU