【10月8日 AFP】マルコ・ゴンザレスさん(37)はかつて、メキシコと米テキサス州を隔てるリオグランデ(Rio Grande)川で魚を捕っていた。しかし、今ではもっと金になる獲物を見つけた。国境を渡る何万人もの移民が置いていった荷物だ。

 メキシコと米国の国境には毎日、南米諸国だけでなくアフリカやアジアから長く危険で困難な道のりを乗り越えた移民が大勢やってくる。

 米国に入国しようと絶え間なく押し寄せる必死な移民に依存する経済圏がここには存在する。移民が置いていくリュックや衣類、毛布を拾い集め生計を立てる人たちもその一部だ。

 ゴンザレスさんは「ある時、(リオグランデ川で)魚を捕っていると100ドル(約1万5000円)が入ったバッグを見つけた。それからここに来るようになった」とAFPに話した。

「今ではそこらじゅうに衣類が大量にある。ずっとここにいようと思っている」

■180万人

 米国の南部国境には、過去11か月間で少なくとも180万人が到達した。多くは安全と収入の良い職を求めて米国を目指して来た。

 毎日、数千人がリオグランデ川を泳いで渡り不法に越境する。その際、荷物を置いていく人も多い。

 ベネズエラ人男性はAFPに「書類と靴だけ持ってきた」と話した。「服は全部ぬれてしまったから川に置いてきた」

 米国側の川岸や中州をパトロールする当局者にとって、移民の荷物をあさる人の姿はもはや日常の一部となっている。

 取材を受ける許可がないことから匿名を望んだテキサス州兵はAFPに「国境沿いに住む人のなりわいの一つになっている」と話した。

「街中でも見る。売ったり交換したりできる物を探している。これで食べている人もいれば、移民を支援するためにやっている人もいる」