【9月8日 AFP】米ニューヨーク市のエリック・アダムズ(Eric Adams)市長(民主党)は6日に行われた市民との対話集会で、移民流入問題は「ニューヨーク市を破壊する」と発言した。

 米国ではテキサスなど共和党知事の州が、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の移民政策に抗議する目的で、民主党が主導権を握る地域にバスなどでまとめて移民を送っている。

 アダムス市長は住民の質問に対して、「世界中から」やって来た移民が毎月1万人ずつ流入していると説明。テキサス州による移送開始以降、ニューヨークに到着した移民は11万人に上っていると述べた。

 さらに「われわれは彼らに衣食住から子どもの教育、医療まで必要とされるあらゆるものを提供しなければならない」と述べ、同市が直面している財政負担について警鐘を鳴らした。

 ニューヨーク市は条例によって、到着した移民のうち希望者には無料で住居を提供することが義務付けられている。だが市の幹部は、これほど大量の移民を受け入れる支援体制は整っていないと悲鳴を上げている。

 元警察官で、民主党穏健派出身の黒人政治家であるアダムズ市長は先月、向こう3年間の流入移民に関連する支援サービスの予算を120億ドル(約1兆7700億円)と試算。「ニューヨーカーの思いやりは無限かもしれないが、われわれのリソースは無限ではない」と述べた。

 今回のアダムズ市長の発言に対し、同市の法律家団体「法律扶助協会(Legal Aid Society)」と米ホームレス支援団体「ホームレス連合(Coalition for the Homeless)」は共同声明で、「こうした危険な言辞は非主流派の政治家が言いそうなことで、多様かつ極めて重要な移民社会を常に歓迎し、たたえてきた街の市長に期待するものではない」と非難した。

 一方、ニューヨーク州のキャシー・ホークル(Kathy Hochul)知事は8月下旬、ホワイトハウス(White House)を訪れ、高官らとこの問題について協議した。(c)AFP