【10月16日 AFP】ウクライナ西部にある捕虜収容所で、食卓に着いていたロシア人捕虜たちは食べ終えると立ち上がり、ウクライナ語で「ごちそうさまでした!」と声を張り上げた。

 AFPは、ウクライナ政府が企画した捕虜収容所のプレスツアーに参加した。食堂での様子は、その際に報道陣が目にした一場面だ。

 ウクライナ側には、ロシア側の対応とは対照的に、収容したロシア人捕虜を人道的に扱っていると印象付ける狙いがある。

 ウクライナ当局と西側の人権団体は、ロシアで捕虜が虐待され、収容所への国際監視団の立ち入りも制限されていると非難している。

 一方、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク(Volker Turk)高等弁務官は3月、捕虜の虐待はウクライナとロシア双方で行われており、時に即決処刑が行われた証拠もあると明言。ウクライナ側はこれに反発している。

■捕虜交換までとどまる最後の場所

 ロシア人捕虜たちは食堂で、エンドウマメのスープ、そばとレバーとビーツのサラダ、パンが入ったブリキ製の食器を受け取った。

 この収容所は、拘束されたロシア兵が他の都市から移送されて集まり、捕虜交換までとどまる最後の場所となっている。

 ロシアが昨年ウクライナ侵攻を開始して以降、捕虜交換は48回行われ、ウクライナ側は2600人近い捕虜の解放にこぎ着けた。だが、直近の8月の捕虜交換では、帰還した人数はこれまでより少なかった。

 内務省で戦争捕虜問題を担当する事務所のペトロ・ヤツェンコ(Petro Yatsenko)報道官は、ロシア側が捕虜交換の交渉を停止したと述べている。

 収容所の捕虜の中には、プレスツアーで訪れた報道陣に対し、今後の捕虜交換について情報はないのかと尋ねる人もいた。