【9月29日 CNS】第19回アジア競技大会(19th Asian GamesAsiad)の開会式が9月23日の夜、中国・杭州市(Hangzhou)で開催された。良渚、宋韻、詩詞、キンモクセイ、風雅な賛歌から梅、蘭、竹、菊に至るまで、中国は5000年にわたる文化で東洋美学の味わいを持つ一つ一つの絵巻を制作し、アジアの観客のために「中国的ロマン」の文化の盛宴を催した。

 杭州オリンピック・スポーツ・エキスポセンター(Hangzhou Olympic Sports Expo Center)スタジアム内のパフォーマンスは、「国風雅韻」「錢塘潮湧」「携手同行(手を携えて共に進む)」というテーマの上中下の3編から成り立っている。

 開会式でのハイテクの使用は、観客の注目を集めた。

 国名と地域名を表示する花窓の背景には、「四君子」と呼ばれる梅、蘭、竹、菊の模様が埋め込まれ、中央の床でも時折、梅、蘭、竹、菊の精巧な刺しゅうの投影が切り替わって表示された。これは、君子の風格で「アジアに住む人々」を迎えることを意味する。

 5000年の中国文明史の証しである良渚文化も開会式で何度も登場した。例えば、歓迎パフォーマンス「水潤秋輝」では、演者による太鼓演奏は良渚文化の典型的な器物の玉琮(内円外方形の儀礼用玉器)を原型にしており、激しく太鼓を鳴らし、水を贈り物として客人を迎える。

 開会式では秋分とモクセイ、水と潮、宋韻と詩詞の3組の文化要素に焦点を当て、東洋美学を示した。

 開会式は、ちょうど秋分の日だった。中国の伝統文化では、モクセイは秋の「百花の頂点」とされ、「蟾宮折桂」は一等賞を取ることを意味する。

 選手団が入場行進する際の「桂花鼓(モクセイ形の太鼓)」の演奏においても、テーマ曲の斉唱においても、「大蓮花」の愛称を持つハスの花をモチーフにした外観のスタジアムの上空から舞い降りてきたモクセイの花びらや、各席下から漂うモクセイの香りが、いずれも観客に臨場感を与え、杭州の秋のモクセイの香りの没入体験を楽しませた。

「水」も開会式の感動的な一幕だ。開会式全体は、上・中・下の三篇で構成されていた。上編では、「水」は水墨詩画であり、煙のような細かい雨が江南を染める美しい絵巻が示された。中編では、「水」は潮に集まり、広がるダイナミックな波を生み出した。下編では、「水」は澄んだ水と緑の山々から生まれる生態文明であり、人と自然の調和した共生を象徴した。

 中国の古代南宋の都として、杭州は宋韻文化も開会式に取り入れた。上編では、10隻の宋韻テーマの遊覧船が湖と山が互いに照り映える景色の中を行き交った。「船上」で演出したパフォーマンスでは、書画、茶道、香道、傘持ち、篆刻、陶器、絹、対局、剣舞、古筝、飲酒、絵画、詩吟といった宋代の生活の要素が表れ、「風雅なところには、どこでも平常がある」という江南の生活美学を示した。

 風雅な賛歌から梅、蘭、竹、菊の導入、詩画の江南から人文的アジア大会に至るまで、開会式での中国文化の要素は、アジアの人々に「中国的ロマン」を示すと同時に、文化交流と心の絆の橋を架けた。(c)CNS/JCM/AFPBB News