【11月12日 AFP】ファッション業界は曲線美が目立つ体系も受け入れていると主張しているが、実際にはそうではないことがデータで示されている。こうした状況に対し、うわべだけを取り繕う「ファットウォッシング」が行われていると非難する専門家もいる。

 パロマ・エルセッサー(Paloma Elsesser)さんのような一握りのプラスサイズモデルが近年、メディアの注目を集めている。だがデータを見ると、こうした体系のモデルはほぼいないも同然だ。

 ヴォーグビジネス(Vogue Business)はこのほど、米ニューヨーク、英ロンドン、伊ミラノ、仏パリで昨シーズンに行われた219回のファッションショーで発表された9137着を調査した。

 この結果、プラスサイズのものは全体の0.6%にすぎなかったことが分かった。プラスサイズは米国のサイズ表記で14以上と定義されており、これが米国人女性の平均サイズとされる。また、米サイズの6~12(日本サイズの9~15号)は3.8%だった。つまり、米サイズ0~4(日本サイズの5~9号)がショー全体の95.6%を占めたことになる。

 ミラノでファッションの社会学を教えるパオロ・ボロンテ(Paolo Volonte)氏は、ファッションブランドは批判を交わすために曲線美のあるモデルを数人起用していると指摘する。

 同氏は、中身を伴わない気候変動対策を掲げた産業を非難する「グリーンウォッシング(環境に配慮しているように装うこと)」という言葉をもじって、こうした状況を「ファットウォッシング」だと非難した。

 モデルのエカテリーナ・オジガノワ(Ekaterina Ozhiganova)さん(31)は、ハイブランドは「一般的な人を表現することを拒んでいる」だけだと述べた。

 ミディアムサイズの女性は「体重を落とすか、XLサイズまで増量するよう言われることが多い」とAFPに話した。「どちらも健康的ではない」