【9月21日 東方新報】中国で市販されているスマートテレビは地上波以外にインターネット番組や映画など多くのコンテンツを見ることができ、4K・8Kの高画質に切り替えて鑑賞することもできる。だが、作品を見ようとするたびに不透明な課金を求められるケースが多く、人形の中にいくつもの人形が入っているロシアのマトリョーシカにたとえて「マトリョーシカ式課金」と言われて問題となっている。

「ドラマを見るためスマートフォンのアプリで課金したが、自宅のテレビで見るには再び課金しないといけない」「動画配信サイトに年会費238元(約4821円)を払って加入したが、アニメを見るのにさらに209元(約4233円)が必要だった」「4K・8K画質で見るにはプラチナ会員になる必要がある」「連続ドラマを最後まで見るのに、何度も課金しないといけない」「課金したのに30分しか見られない」「最初の数か月は割安でVIP会員になれるというので申し込み、解約を忘れて正規のVIP料金を請求されている」

 中国のネット上ではマトリョーシカ式課金への不満の声が相次いでいる。

「教えてほしい。テレビはいつからクレジット端末になったんだ? テレビをつければ課金、お年寄りがニュースを見れば課金、子どもがアニメを見れば課金。映画会員にアニメ会員、一般会員、ゲーム会員、プラチナ会員、ダイヤモンド会員…」。SNSに最近投稿されたこの書き込みには、237万もの「いいね」が集まった。

 問題の背景には、中国で急速に進む「テレビ離れ」がある。

 今年上半期の中国カラーテレビ市場の販売台数は1467万台で、前年同期比12.2パーセント減となった。中国のスマートテレビは購入した段階から動画配信サービスなど多数のアプリがインストールされている。テレビメーカーはアプリの提供企業から1台インストールするごとに料金を受けており、販売台数が落ち込んでいる分を穴埋めする貴重な収益手段となっているのだ。そして、その各種サービスは視聴者から羊の毛をむしり取るようにマトリョーシカ式の課金を求める。

「進化したスマートテレビで悪質なサービスがまかり通っている」という批判を受けて、放送事業を統括する国家広播電視総局は8月21日、工業情報化部、国家市場監督管理総局とともに北京市で「マトリョーシカ式課金」問題に対する会議を開催。今年の年末までに、複雑かつ不透明な課金システムを根本的に改善するよう関係業界に求めている。中国メディアやネット上では「ようやく『一魚多吃(一匹の魚を何度も食べる)』の状態が改善される」と歓迎の声が相次いでいる。(c)東方新報/AFPBB News