【9月17日 AFP】インドで動物から人に感染する、致死率の高いニパウイルスが流行している。南部ケララ(Kerala)州では先月以来、2人が死亡、他にも3人の感染が確認されている。

 当局は学校を閉鎖し、大規模な検査を実施した。

 ニパウイルスについて分かっていることを以下にまとめた。

Q:ニパウイルスとは

A:マレーシアの養豚業者の間で感染症が発生。1998年、ニパウイルス感染症と確認された。

 名称は、ウイルスが分離された患者の出身地に由来する。

 流行はまれだが、世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱、ジカ熱、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などと並び、ニパウイルス感染症を「優先病原体 (集団発生やパンデミック〈世界的な大流行〉を引き起こす可能性のある病原体) 」リストに掲載している。

 ニパウイルスは通常、動物から人に感染したり、食べ物を介して人に感染したりするが、人から人へと感染することもある。

 ニパウイルスの自然宿主はオオコウモリで、感染源とみられている。

Q:症状は

A:急な発熱、嘔吐(おうと)、呼吸器感染など。発作や脳炎を経て昏睡(こんすい)状態に陥る重症例もある。

 ワクチンは開発されていない。

 WHOによると、致死率は公衆衛生の態勢によって40%から75%と幅がある。

Q:過去の発生事例は

A:マレーシアで発生した最初の事例では100人以上が死亡。感染封じ込めのため、100万頭のブタが殺処分された。

 感染ブタがシンガポールに輸出され、同国の食肉処理場の従業員に感染する事例が11例発生。1人が死亡した。

 その後はバングラデシュ、インドで主に発生している。両国ともに最初の発生は2001年。

 バングラデシュでは2001年以降、100人超が死亡。インドでも50人超が死亡している。(c)AFP