【9月24日 AFP】戦禍に見舞われているスーダン西部ダルフール(Darfur)地方では、携帯電話や電話のサービスが寸断される中、タクシー運転手によって運ばれる手紙が家族らの安否確認のための重要な通信手段になっている。

 アフメド・イッサさん(25)は、情勢が落ち着くダイーン(El Daein)にある道路沿いのカフェで、背中を丸めた姿勢で、南ダルフール州の州都であるニャラ(Nyala)に残した親族への手紙をしたためていた。

 スーダン第2の都市であるニャラは、正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間で激しい戦闘が繰り広げられている。イッサさんはAFPに対し、ニャラの親族と連絡を取り合うための唯一の手段が大抵の場合、手紙だと語った。

 戦闘が始まってから5か月近くが経過する中、「戦闘開始当初から、ニャラに住む人と連絡を取るのは難しかった」と振り返った。状況は悪化を続け、スーダンの人口4800万人の約4分の1が住むダルフールでは、恐ろしい暴力が記録されている。

 ダルフール地方は、2003年に始まった紛争で荒廃した。独裁体制を敷いていたオマル・バシル(Omar al-Bashir)大統領(当時)に少数民族の反政府勢力が蜂起し、政府がアラブ系民兵組織「ジャンジャウィード(Janjaweed)」を利用して反撃。数十万人が死亡、200万人以上が自宅を追われた。

 イッサさんは手紙を丁寧に何度も折りたたみ、「手紙が届くのを一週間待つが、ちゃんと届くかどうか保証はない」「もし届いたとしても、返事が戻ってくるかどうかは分からない」と語った。

 西ダルフール州の州都ジェネイナ(El Geneina)では3か月前、戦闘が激化し、ダルフールでの民族間の暴力再燃を象徴する地となった。西側諸国と国連(UN)は、RSFやその支持勢力が関与しているとの見方を示した。

 現在、ニャラが正規軍とRSFの衝突の中心地となっている。医療関係者らによると、ニャラではこのほど、砲弾が民家を直撃し、市民39人が死亡した。ほとんどが女性と子どもだった。国連によると、8月の10日間で、5万人以上が暴力から逃れるためニャラから避難を余儀なくされた。