【9月17日 AFP】ブラジルの熱帯雨林アマゾン(Amazon)で、ヤシ科の植物アサイーの栽培が拡大している。専門家はしかし、アサイーの単一栽培が進むことで生物多様性が損なわれる恐れがあると危惧している。

 アマゾン奥地のコミュニティーに住むジョゼ・ディオゴさん(41)は木に登り、一房のアサイーの黒い実を収穫した。世界最大の熱帯雨林であるアマゾンを良くも悪くも変えつつある、人気の「スーパーフード」だ。

 収穫されたアサイーの一部はシャーベットやスムージー、ジュース、粉末、錠剤などに姿を変え、はるかニューヨークや東京の高級スーパーの棚に並べられる。

 栄養や抗酸化成分に富むアサイーは2000年代に入って世界的に人気が高まった。グウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)さんら著名人が愛好していることにも後押しされた。

 アマゾンでは、伝統的な農業に従事していた農家に経済的な恩恵をもたらし、熱帯雨林を破壊しない「緑の開発」につながるとして称賛された。こうした変化を、ディオゴさんは最前線で目の当たりにしてきた。

 パラ(Para)州北部のイガラペサンジョアン村に住むディオゴさんは、「毎年の収穫ごとに私たちの状況は良くなっている」と語った。アサイーを売って得た現金収入で今、レンガ造りの家を建てているところだ。

 収穫が多い日には、300〜625レアル(約8900〜1万8500円)の収入があるという。収穫したアサイーは、船で州都ベレン(Belem)に運搬され、傷つきやすい実の品質が落ちる前に労働者によって市場に運ばれる。