【9月5日 AFP】ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)州で新たに導入された電子教科書が、実際には海から車で1時間ほどの距離にある州都サンパウロを海沿いにあると紹介するなど記述に多数の誤りがあることが判明し、裁判所が使用停止を命じる事態になっている。

 問題の電子教科書は州内の高校向けに導入されたもので、公立高校の教師らから間違いを指摘する声が上がっていた。

 サンパウロの裁判所は4日、州政府に対し、「内容を見直し、教育省の定める水準に見合うまで」教科書の使用を停止するよう命じた。さらに48時間以内に使用を停止しなかった場合、1日当たり1万レアル(約30万円)の罰金の支払いを求めた。

 問題の電子教科書はほかに、汚染された水がパーキンソン病やアルツハイマー、うつの原因だとする不正確な情報や、1868年に死亡した科学者が1985年に新発見をしたとするなど誤りが散見された。

 ブラジルメディアは、州の教育当局が間違いを修正し、責任者らを懲戒免職にしたと報じた。

 サンパウロ州は先月、電子教材の導入に関する新方針を発表。州教育当局のトップは紙の教科書は「質がよくない」と主張していた。

 専門家らは、学校での過剰なデジタル技術の使用は学習に悪影響があるとして、州を批判していた。また、広大な土地に4400万人が暮らす同州では、インターネット環境がない学生も多く、電子教科書の実行性にも疑問の声が上がっていた。(c)AFP