【9月1日 AFP】南アフリカ・ヨハネスブルク中心部で8月31日、不法に占拠されていた5階建ての建物で火災が発生し、子ども12人を含む74人が死亡、61人が負傷した。当局が同日、発表した。

 科学捜査当局によると、死亡したのは女性24人、男性40人。このほか「性別が分からないほど焼けた」遺体が10人に上るという。

 建物は市が所有する文化財だが、不況の影響で犯罪が多発している地域にある。市当局によると、使われなくなってからは多くの人が不法に住み着いていた。

 住民の一人は、住んでいた人の大半は外国人だったと話した。

 建物に住む友人に会いにきて火災に巻き込まれた男性は「死ななくてよかった。多くの人が非常口を探し回っていたが、そのうち煙を吸って死んでしまった」と話した。

 鎮火後、建物の窓からは脱出に使われた毛布やシーツが垂れ下がっていた。

 複数の目撃者が、わが子を助けたい一心で窓から赤ん坊を放り投げる親がいたと話した。建物を挟んで道の反対側に住む男性(25)は、建物の外で赤ちゃんが受け止められるのを見たと話した。

 出火原因は現時点では不明。慢性的に停電が起き、貧困とホームレス問題に直面する同国では、住宅火災は珍しくない。

 当局によると、建物内に「80以上の小屋」が設置されていた。

 ヨハネスブルクの中心部では多数の廃虚が不法占拠されており、その多くは犯罪組織の管理下にある。

 複数の住民はAFPに、五つのフロアにはそれぞれセキュリティー用のゲートがあり、夜間は警察や不審者が入れないように施錠されていたと話した。

 市職員は「焼けた遺体の多くはゲートのところで積み重なっていた」と説明した。

 アフリカ最大の工業国である南アフリカには、他のアフリカの国から数百万人が移り住んでおり、その多くが不法移民だ。(c)AFP/Zama LUTHULI / Umberto BACCHI