ワグネル、プリゴジン氏死後もアフリカで活動継続の可能性 専門家
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■後継者探しは困難
米リスクコンサルタンティング会社ソウファン・センター(Soufan Center)は、「ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)大統領自身が最近認めたように、ロシア政府でさえもプリゴジン氏が運営してきた複雑なシステムの実態を把握していない」と指摘した。
ワグネルに関する書籍を執筆している研究者のジョン・レヒナー(John Lechner)氏も「アフリカでワグネルの人員を入れ替えるなら、活動を維持するためのネットワークと経験を持つ新たな人材を探し出す必要があるが、見つかる可能性は低い」と分析した。
中央アフリカを例に挙げれば、ワグネルは同国で活動を開始した2017年以降、影響力を着実に拡大し、今年7月には憲法改正のための国民投票を組織するに至った。
レヒナー氏は「恐らくワグネルの主要な関係者の一部は、中央アフリカでの活動を維持するためのネットワークと組織に関する知識を持っているため、ポストにとどまるだろう」と予想した。
だが、プリゴジン氏が死亡したことで重要ポストが空席となり、それを埋めるのは容易ではないと複数の専門家がみている。
「相応の金銭的対価があるなら、困難な活動を引き受ける意思を示す多くの人物が現れるだろう。ただ、プリゴジン氏には間違いなくかなわない」と、ロシアで調査報道を手掛けるジャーナリスト、デニス・コロトコフ(Denis Korotkov)氏は語った。
フランスや米国をはじめ、アフリカでのワグネルの活動を批判してきた国々は、ワグネルがマリの軍事指導者などアフリカの政権にとって一種の生命保険のような機能を果たしていると指摘してきた。
前出のレヒナー氏は「ワグネルは、アフリカの国々が公的な軍隊を運営していく能力や意思が欠如していることの産物だ」と述べた上で、この問題は解決しておらず、こうした役割を果たせる民間の軍事組織は他に存在しないとの認識を示した。
さらに、西側諸国との協力を好まないアフリカ諸国に代替手段はなく、「依然としてワグネルが唯一の選択肢だ」と話した。(c)AFP