■希望か大風呂敷か

 これまでのところグリーン水素部門への投資によって、石油・ガス部門の成長が抑制されている事実はない。実際、UAEとサウジは炭化水素部門の拡大を計画している。

 専門家は、化石燃料ベースの水素とコスト面で競争できるグリーン水素を湾岸諸国が製造できるようになるまでには、まだしばらくかかるだろうと予測する。

 シンガポール国立大学(National University of Singapore)中東研究所のアイシャ・サリヒ(Aisha al-Sarihi)研究員は「湾岸諸国は、炭化水素製品をできる限り長く販売することに注力するだろう」と語る。

 ただ、グリーン水素が商品として販売できるようになるまでには何年もの試行錯誤が必要だろうとの見方を示しつつも、技術が確立され、コストも下がれば「未来の新しい燃料となり得る」とも話した。

 厳しい見方もある。UAEのアブドラ・ヌアイミ(Abdullah al-Nuaimi)前気候変動・環境相は「水素を輸送するには現行のインフラでは不十分で、大規模な投資が必要となる」と指摘する。

「水素に付いて回るこうした課題を克服するには時間がかかりすぎる」 と、AFPに語った。(c)AFP/Hashem Osseiran