【8月23日 AFP】キプロスの警察は22日、リゾートにある取り壊し予定の集合住宅を不法占拠していた移民の大規模取り締まりを行った。集合住宅には80人以上が住み着いていた。

 取り締まりが行われたのは、パフォス(Paphos)近郊クロラカ(Chloraka)の集合住宅。移民と地元住民の間で長年摩擦が生じており、住民らは不法占拠者の立ち退きを求めていた。

 移民が電気を無断使用しているとの指摘もあった。これを受け、国営電力会社が建物への電力供給を停止し、地元の変電所に警備員を配置したことから、不法占拠問題が再び注目されていた。

 パフォス警察の広報担当者は記者らに、移民は登録後に受け入れ施設に移送され、キプロスに滞在する権利があるかどうか審査が行われると説明した。

 内務省によると、集合住宅の全250戸を確認したところ、81人が住み着いているのが確認された。うち、23人が亡命希望者だった。

 1年半以上前にAFPが同集合住宅を取材した時には、約700人が住んでおり、その大半がシリア人だった。

 22日の取り締まりは、2020年11月に出されたものの執行されていなかった退去命令に基づくもの。

 国営キプロス放送(CyBC)は、取り締まりが始まる前に移民約150人が建物から出て行ったと報じている。

 先週には移民約100人が、他の滞在場所を提供するよう求めデモを行った。機動隊が介入し、催涙ガスを使用した。

 集合住宅に住んでいたシリア人は「家を借りたいと思っても、オーナーにシリア人には貸さないと言われる」と話し、他に住む場所が見つからないと訴えた。

 欧州連合(EU)加盟国のキプロスは、地中海の移民ルートにおける「最前線の国」となっていると主張している。EUのデータによると、キプロスは昨年、初めて亡命申請をした人の数が人口比で加盟国中最も多い国となった。(c)AFP