【8月22日 AFP】韓国の海洋警察庁は22日、中国から水上バイクで300キロ以上移動し不法入国を試みたとして、中国人の男を逮捕したと発表した。男をめぐっては、中国当局の監視下にある人権活動家だとする声もある。

 男は山東(Shandong)省から、燃料容器5個を準備して1800ccの水上バイクに乗り、ライフジャケットとヘルメットを着け双眼鏡とコンパスで進路を確認しながら黄海(Yellow Sea)を渡った。

 同庁によると、男は「水上バイクに乗ったまま給油し、空になった容器は海に投棄した」という。

 水上バイクは、西部仁川(Incheon)のクルーズ船ターミナル港近くの干潟に入ったところで動けなくなり、男は自ら救助を要請した。

 同庁は、男が仁川から「密入国しようとした」ため逮捕されたとしている。氏名は公表されていない。当局によると、男がスパイであることを示す物はないという。

 国際NGO「ダイアログ・チャイナ(Dialogue China)」の韓国代表はAFPに対し、逮捕されたのは中国人の人権活動家(35)で、過去に習近平(Xi Jinping)国家主席をあざ笑う画像をソーシャルメディアに投稿し、国家転覆罪で収監されたことがあるという。

 同代表は、「韓国に不法入国しようとした手法は間違っているが、2016年から続く中国当局の監視と政治的迫害が、今回の命を賭けた韓国密入国の背景にある」と指摘。本人は「亡命申請を韓国で行うか、第三国を選ぶかを現在検討中」だとしている。

 在ソウルの中国大使館はAFPに対し、コメントは差し控えると回答した。(c)AFP