【8月22日 CNS】万里の長城(Great Wall of China)がある中国・河北省(Hebei)秦皇島市(Qinhuangdao)山海関区(Shanhaiguan)の鍋料理「渾鍋(Hunguo)」は、食通の人たちにとって四川省(Sichuan)や重慶市(Chongqing)の火鍋に近い存在だ。

 この鍋料理は、清朝を打ち立てた満州族が北京市に遷都した際に持ち込んだ食事法と言われている。鍋の底に、細切りにした白菜の漬物と昆布を広げて出汁(だし)を取り、豚バラ肉、カニやエビ、カルビなどを順に入れて出汁で煮ることが多い。とろみのある濃厚な白湯スープの芳香が食欲をそそる。

 1993年に山海関区で最初の渾鍋レストランをオープンさせた王文和(Wang Wenhe)さんは毎朝、市場で新鮮な食材を探し、究極の鮮度を追求している。王氏は「肉団子や水ギョーザ、豚カルビなど鍋の材料は新鮮でなければならず、冷凍ではうま味が感じられない」と話す。

 南は渤海、北は燕山に隣接し、河北と遼の喉元を結ぶ山海関は、満州族、漢族などの民族が集まり、融合する場所でもある。東北地方の人びとに食卓に欠かせない白菜の漬物と山海関の魚介類が出会うことで、この鍋料理の独特の風味が生まれるのだ。

 山海関区の歴史・民俗学者の劉学勤(Liu Xueqin)氏は「山海関の渾鍋は牛肉や羊肉と一緒に食べることもできるし、自分の好みに合わせて野菜を調理することもできる。地元の民族食文化の統合モデルといえる」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News