【8月18日 CNS】顔真卿(Yan Zhenqing)は唐代の有名な書道家で、中国の書道史において極めて代表的な人物だ。2019年1月に東京で開催された顔真卿書道展は一時、大きな話題となり、展覧会の来場者数は10万人を超えた。日本の天皇皇后両陛下も訪れ、数万人の中国からの観光客も日本に足を運び顔真卿の作品展を鑑賞した。

 瀋陽師範大学(Shenyang Normal University)書道教育研究所の楊宝林(Yang Baolin)元所長は最近のインタビューで、漢文化圏の日本と韓国がずっと顔真卿の書道を好み、今もなおその人気が衰えないのは、いくつかの理由があると述べた。第一に、顔真卿の書道は日本と韓国に伝わった後、定番となり、それを学ぶことは伝統となった。第二に、顔真卿の人格的な魅力がある。彼は唐代の忠臣として尊敬されている。第三に、顔真卿の書道、特に楷書は上品で整っており、人びとの審美観に合っているからだ。そのため、今日でも多くの学習者がいるという。

 顔真卿の書道の海外への影響は唐代にまでさかのぼる。日本で初めて顔真卿の書道を学び、広めたのは平安時代の書道の巨匠とされる弘法大師、空海(くうかい)だ。彼の「灌頂歴名(かんじょうれきめい)」の草稿には、顔真卿の「祭侄文稿(さいてつぶんこう)」と「争座位文稿(そうざいぶんこう)」の筆意が明らかに表れている。

 顔真卿の書道が海外で大きな反響を呼んだことは、中国の書道が高く評価され、また海外で中国の書道が認められていることを示している。中国の国力が次第に強まるにつれ、海外で中国語を学ぶ人が増え、書道を学ぶ人もますます増えている。

 中国の書道が最初に進出したのはアジアの漢字文化圏だった。日本では書道を学ぶ人が多く、1年に1回、全国書道展が開催されている。小学校、中学校・高校、大学では書道の授業があり、大学では書道の専攻もある。韓国でも小学校や中学校で書道の授業が行われ、書道を好む人が多くいる。

 書道は中国文化の重要な一部であり、中国文化を世界に紹介する窓口でもある。同時に、書道は中国文化の媒体でもある。外国人が中国語を学ぶ際、多くは書道から始める。書道は中国のものであり、同時に世界のものでもある。書道は視覚芸術であり、「美しい線で心を表現する」ものであり、中国人だけでなく世界中の人びとに好まれる。それは東西の美への共通の追求に合致し、世界的に美学的な意義を持っている。近年、外国の学者たちは中国の書道研究に注目し、多くの学術論文が出版されている。中国の書道研究は世界的な関心を集める研究分野となっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News