■「生きている限り」

 肥えた農地の中にメイテイ族が多く住むビシュヌプール(Bishnupur)地区とクキ族が多数を占めるチュラチャンプール(Churachandpur)地区があり、その間に位置する道路に沿って焼け焦げた家が並んでいる。この道が、敵対する両民族にとっての非公式な境界線となっている。

 軍は道路を巡回しているが、その間も近くで銃声が聞こえる。

 道路の反対側メイテイ族の拠点では、銃を携えた男たちがクキ族が怖いと口をそろえる。

 その一人、匿名を条件に取材に応じたKBさん(55)は「軍でさえ制御不能だ」「もはや内戦だ」と語った。

 メイテイ族は長年、クキ側がミャンマーからの不法移民を支援し、ケシを栽培していると非難している。しかし、クキ族はこれを否定している。

 KBさんは「私たちは共に暮らしてきた」「突然、やつらが攻撃してきて自治を求めている。そんなことは起こりえないのに」と述べた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、ヒンズー教多数派主義を促進し、分断政策を導入しているとして、アミト・シャー(Amit Shah)内相率いるヒンズー教至上主義のインド人民党などの州当局を非難している。

 ホキプさんは政府を信用しておらず、メイテイ族のN・ビレン・シン(N. Biren Singh)マニプール州首相が今回の衝突に関与していると考えている。シン氏はこれを否定する。

「クキ族に対する政府主導の民族浄化だ」「政府に働き掛けたとしても、メイテイ族を支援し続けるだろう」と訴える。

 一方、メイテイ族のKBさんは、民兵が銃を手放すことはないと強調した。

「生きている限り、われわれの土地を見捨てて逃げ出すことはない」 (c)AFP/Aishwarya KUMAR