【8月27日 AFP】民族間の衝突が続くインド北東部のマニプール(Manipur)州。武装した自警団の戦いが長期化する中、民兵となった少年たちが、丘の上の基地から敵側を見つめる。

 その一人、クキ(Kuki)族で農家出身のパオミンタンさん(16)は、3か月前まで学校に通い、サッカー選手になることを夢みていた。今では銃で武装し、必要ならば敵対するメイテイ(Meitei)族を殺すこともいとわないと話す。

 パオミンタンさんは、メイテイ族の一団に家族を襲撃され、学業をあきらめた。復讐(ふくしゅう)を恐れてフルネームは明かさない。

「家は焼かれた。他に選択肢はない」。誇らしげに銃を手にし、身を守るために銃を使うことに何のためらいもないとAFPに語った。「迷わず撃つ」

 クキもメイテイも否定するが、数か月も衝突が続くにつれ、分断は深まっている。殺人や家屋、キリスト教の教会、ヒンズー寺院への放火など、互いに復讐を繰り返す、負の連鎖に陥っている。

 両民族とも民兵を組織し、当面の間は銃を手放すつもりはないと主張する。

■「家が焼かれる」

 インドの最新の国勢調査である2011年の統計によると、マニプール州の人口およそ280万人のうち、メイテイ族が過半数を占める。クキ族は約16%だ。自治を求めるクキ族の訴えは、メイテイ族に真っ向から否定されている。

「タイガーキャンプ」と名付けられたパオミンタンさんら民兵の拠点は、傾斜のきつい緑豊かな丘を上がった細い道の先にある。敵対するメイテイの拠点も、周囲に点在している。

 5月に衝突が始まった際、暴徒が複数の警察署を襲撃。通信社PTIによると、3000丁の銃と60万発の銃弾が所在不明となっている。

 AFP取材班は双方の拠点で、カラシニコフや金属パイプでできた手製銃など、おびただしい数の精巧な銃器を確認した。

 クキ族の民兵の一人、パオコサト・ホキプさん(32)は、5月まで支援機関の職員だった。「見せることはできないが、2か月以上は持つほどの弾薬がある」と語った。

 ホキプさんらは、土のうを積んだ拠点から高性能の双眼鏡で暗闇を見つめ、夜通し見張りをしている。見張り役以外の民兵は、竹の柱にくくり付けられたビニールシートの下で休息を取る。

「武装してここにいなければ、やつらが数千人でやってきて、私たちの家を焼き払うだろう」と話す。