■「非情な山」にも商業化の波

 パキスタン山岳会会長は、ポーターたちが「登山家の命綱」になっていると言う。登山の難易度が高いことから「非情な山」と呼ばれるK2だが、そのベースキャンプには現在、プラスチック製の果物やワイングラスなどが置かれている。ポーターたちが背負って届ける商業的な力によって、K2の凶暴さが封じ込められてきたことを象徴しているように見える。

 だが、こうしたわずかばかりのぜいたく品はポーターたちには無縁だ。観光客に対し、簡易的な医療処置やヘッドライト用の電池、携帯電話の充電の施しを乞わなければならない立場にある。

 2011年には、崩落事故で3人のポーターが亡くなった。ポーターのリーダーであるワリ・カーンさん(42)は「私の山々とのつながりは、幼子と母親のつながりのようなものだ」と語った。

 その一方で、「狂気のようでもある」と認めた。「仲間の多くがこの雪の下に埋まってしまった。皆、そのうち死ぬのではないかと知りながら、それでも行ったのだ」とカーンさん。「皆、心が(山と)つながっていた。あなたの心が、愛する人とつながっているように」と言葉を継いだ。(c)AFP/Joe STENSON