【8月28日 AFP】空を突き刺すようにそびえる山々の道を、パキスタン人ポーターの一行が、世界第2位の高峰K2(ケーツー)への登頂を試みる冒険者たちのため、生きた鶏や椅子などを担いで歩を進めている。

 往復で12日間、約27万歩に及ぶ厳しい道のりに、ポーターたちはプラスチック製のローファーやパジャマなどを着用して挑む。目指すのは、地球上で最も感動的な景色の一つであるカラコルム(Karakoram)山脈の最高点8611メートルだ。

 経済の低迷が、パキスタンの男性たちをこの危険な仕事に駆り立ててきた。不況のせいで、報酬が目減りするのもやむを得ない。今や道路開発が徐々に進み、登山ルート自体は安全になる一方で、仕事が減っている。ポーターたちは山に愛着を抱いているが、その行程は体を痛めつける。

 K2初登頂から70年。遠征を支えてきたポーターたちの身入りの少ない生活は今、岐路を迎えている。

 AFP取材班は、ある登山チームに同行した。チームのために卵180個を運ぶポーターのヤシン・マリックさん(28)は「山が大好き」だと語った。

「父方の祖父や母方のおじ、父親もこの仕事をしてきた。今度は私の番だ」と話すマリックさんは、今後もポーターの仕事を続けるつもりだ。だが、子どもや孫の世代には引き継がせたくないと考えている。