【8月12日 東方新報】中国で「人工甘味料アスパルテームの摂取は体に悪影響か?」と議論が起きている。

 アスパルテームはガム、アイスクリーム、ヨーグルトや低カロリー飲料水などに幅広く使われている。世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は7月14日、アスパルテームを4段階ある発がんリスクのうち下から2番目の「2B」に指定した。これはガソリンによる排ガスなどと同じレベルにあたる。

 一方、WHOと国連食糧農業機関(FAO)のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は「アスパルテームが有害と確信できる証拠はない」とし、体重1キロ当たり1日40ミリ未満という許容摂取量を変更する必要はないとの見解を示している。中国国家食品安全リスク評価センターは14日夜、「私たちはIARCとJECFAの最新評価に基づき、引き続き食品の安全を確保する」と表明した。

 だが中国のSNSの一部などでは、「WHOがアスパルテームに発がん性があると表明」という部分だけが切り取られた情報が拡散。「食品や飲料品のパッケージで、アスパルテームが含まれていないか見るようになった」という声も少なくない。中国最大のSNS「微博(ウェイボー、Weibo)」ではさまざまなアンケートが行われ、「アスパルテームの摂取を続けるか」という問いに589人が回答し、269人は「変えるつもりはない」としたが、100人が「摂取量を減らす」、117人が「摂取しない」と答えている。

 アスパルテームをめぐっては中国でたびたび健康に問題がないか、ネット上などで議論が起きている。中国の新興飲料メーカー「元気森林(Yuanqisenlin)」は「糖類ゼロ 脂肪ゼロ カロリーゼロ」を看板にした無糖炭酸水をヒットさせ、無糖ブームの火付け役となったが、最近は「アスパルテームゼロ」と宣伝している。

 ただ、多くの市民はこうした過剰反応に冷ややかだ。ネット上では「アスパルテームの摂取より、暴飲暴食をしたりストレスをためたりする方が発がん性は高いんじゃない?」「アスパルテーム以外の人工甘味料だったら、発がん性はゼロと言えるの?」という意見も多い。

 WHOによると、体重60~70キロの人の場合、アスパルテームの許容摂取量は炭酸飲料で9~14本に相当し、通常消費量の約10倍。WHOの担当者は「大量に摂取しない限り、リスクは生じない」と説明している。

 中国では急激な経済成長に伴い、食事の西洋化や残業の増加などライフスタイルが変化しており、その分、健康への意識も高まっている。ただ、根拠のない不安を抱いたり、細かく飲食物をチェックしたりするとストレスがたまり、その方が健康にマイナスとなりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News