【8月8日 AFP】フランス警察は7日、ドイツ国境に近い東部フォルバック(Forbach)のアパートで12年間監禁されていたと主張するドイツ人女性(53)が裸で発見されたことを受け、ドイツ人の夫(55)を逮捕したと明らかにした。夫は、がんを患った妻を看病していただけだとし、容疑を否認している。

 警察筋によれば、女性は自らドイツ西部ビースバーデン(Wiesbaden)の警察に通報。これを受け、地元警察がフランスの警察に連絡した。当初は、寝室にいた女性は頭をそられ、複数の箇所を負傷し、栄養失調状態で、虐待を受けていたと見られるとされていた。

 仏ニュース専門放送BFMは、警察が夫を拉致、レイプ、虐待などの容疑で捜査していると伝えた。

 地元の検事はAFPに対し、女性の健康状態は「良くない」と話したが、その後の記者会見では一転、骨折や打撲はなかったとして、メディア報道を否定した。

 血液検査でも著しい脱水症状は見られず、女性の証言には「矛盾」があると指摘。脱毛した頭と痩せこけた体はがんによる可能性があり「状況からすると、病人の看護が不適切だったようだ」と話した。

 警察は、寝室と他の部屋は金網で閉め切られていたとしているが、検事は、10匹の猫が他の部屋に出入りするのを防ぐためだったのかもしれないとした。

 隣人の女性は、夫は何年も前からアパートの住民全員に妻はがんだと話していたと話した。女性については「姿を見たことがなく、外出したこともないと思う」「時々、悲鳴が聞こえた」とし、夫については「とても礼儀正しく、親切」だと語っている。

 近隣住民の一人は、女性を最後に見たのはおそらく10年前で、「亡くなったか引っ越した」と思っていたと話した。

 民放ラジオ・モンテカルロ(RMC)によれば、警察は、男が自身の行動や妻に食事を与えた時間などを記録していたと思われる日記のようなノートを発見したが、検事は確認していない。(c)AFP/Marine LEDOUX