【7月31日 AFP】北アフリカのチュニジアとリビアの国境に広がる砂漠地帯に置き去りにされた不法移民が、支援を訴えている。移民らはチュニジア当局により、水や食料もなしに置き去りにされたという。

 チュニジアのリビアやアルジェリアとの国境地帯に、移民が置き去りにされる事例はこれまでにも報告されている。国境警備隊や移民、そして過去に同様の事例を確認したNGO職員によると、今回は約140人のサハラ以南のアフリカ諸国出身者が放置された。

 ナイジェリア人のジョージさん(43)は、リビア沿岸部ラスジェディル(Ras Jedir)の国境検問所から30メートル離れた、有刺鉄線の間に作られた仮設収容キャンプにいる。「今にも死にそうだ。毎分、死が近づいている」とAFPに語った。

「どうかお願いだから、今すぐここから連れだしてほしい。助けに来て」「ここがどこかも分からない。食料も水もなく、苦しんでいる」と懇願した。

 リビア内務省は25日、チュニジア国境付近でアフリカ系移民5人の遺体が見つかったと発表した。

 ジョージさんは、チュニジアの沿岸の街スファクス(Sfax)で18か月間、理髪師として働いていた。妻と幼い子どもは今もスファクスにいる。

「チュニジア警察は、武器を向け、私たちをテロリストと呼んだ」

 リビア政府は、移民らに国境を超えないよう通告してきた。ジョージさんたちは、地中海が熱波に襲われる中、行き場を失った。

 ただ、リビアは赤新月社(Red Crescent)を通して、水と食料を提供してくれた。

 同じく移民のニジェール人女性、ファティマさん(36)は、チュニジア兵は移民から携帯電話などの私物を「全て没収」し、砂漠に置き去りにしたと話した。ファティマさんも姓は名乗らなかった。

 別の移民は「われわれは人間だ」と訴えた。