【7月27日 AFP】太平洋の島国バヌアツを訪問したフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は27日、同地域に「新たな帝国主義」が出現していると非難し、小国の主権が脅かされる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 バヌアツは1980年に独立するまで、フランスと英国が共同統治していた。マクロン氏は今回、現職の仏大統領として初めて、太平洋で独立した島しょ国家を訪問。米国と中国が影響力を競う同地域で、フランスとして新たな選択肢を提示する姿勢を示した。

 マクロン氏は演説で「インド太平洋地域、特にオセアニアに、新たな帝国主義が出現しつつあり、最も小さく、最も脆弱(ぜいじゃく)性に陥りやすい国々の主権を脅かす力の論理が存在している」と指摘。「われわれのインド太平洋戦略はとりわけ、フランスと協力する用意がある域内のすべての国家の独立と主権を、パートナーシップを通じて守ることにある」と述べた。

 マクロン氏には、インド太平洋地域で「勢力均衡に寄与する大国」として、自国の重要性を強調する狙いがある。

 フランスは同地域にニューカレドニアやポリネシアをはじめとする海外領土があり、国民160万人が居住しているほか、900万平方キロに及ぶ排他的経済水域(EEZ)を有する。一方で、2021年にオーストラリアが仏製潜水艦の購入合意を破棄し、米英製原子力潜水艦の導入を決めたことを受けて、フランスは同地域における戦略の練り直しを迫られている。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI