【7月25日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は24日、西アフリカのマリで、国軍とロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)の傭兵(ようへい)とみられる「外国人」戦闘員がイスラム過激派掃討作戦中に民間人数十人を「処刑」したと非難した。

 HRWの新たな報告書によると、民間人の殺害は2022年末ごろから中部の複数の町で、イスラム武装組織に対する軍事作戦中に発生。マリ軍と明らかにワグネル所属と分かる外国人戦闘員が、民間人数十人をその場で処刑したとしている。

 報告書をまとめるに当たりHRWは、民間人殺害の目撃者20人、被害者の家族3人、共同体の長2人、マリ人の市民社会活動家5人など、計40人に電話で聞き取り調査を行った。

 対象となった人々は、フランス語ではない言葉を話す武装した外国人が関与していたとし、そうした外国人は「白人」「ロシア人」「ワグネル所属」だったと証言している。

 ある人は、戦闘服を着た大勢の「白人」の外国人戦闘員が2月3日にセグエラ(Seguela)村を襲撃したと話した。戦闘員らは村人を殴り、略奪したという。男性17人を拘束し、うち8人の遺体が後日見つかった。

 28歳男性は、ウエンコロ(Ouenkoro)村で3月、軍用ヘリが低空飛行し、村を銃撃したと語った。「みんな、散り散りになって逃げた。私はバイクに飛び乗って、できるだけ早く走らせた」

 マリ政府は今回のHRWの報告書を受け、いかなる人権侵害事案も把握していないとした上で、検察が「戦争犯罪と人道に対する罪が行われた疑いで捜査を開始した」と説明した。

 マリ軍と外国人戦闘員をめぐっては、国連(UN)も5月、イスラム過激派掃討作戦で500人を殺害したと非難していた。マリ軍政はこれを否定している。(c)AFP