【9月3日 AFP】ドイツ西部の人口600人を擁する村ローネ(Lohne)の最後の食料雑貨店が今春、閉店した。住民は今、村の広場に週1回やって来る大手スーパーマーケットのバスで買い物をしている。

 バスが村にいるのは90分だけだが、車で最寄りの食料品店まで移動しなくても、生活必需品をそろえることができると好評だ。

「スーパーマーケット・バス」は、小売り大手レーベ(REWE)と、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)による実証試験の一環。今年3月から中部ヘッセン(Hessen)州の人里離れた村々を回っている。

 州内の実店舗は減り続け、いわゆる「フードデザート(健康的な食生活の維持が困難な地域)」が増えている。

 ローネの住民はバスの巡回を歓迎している。

 電動三輪車で3キロ移動して来たインゲ・ネーリングさん(90)は、「必要なものはここで手に入る」と話す。特別な買い物がある時はデパートへ行くという。

 連節バスは全長18メートルで、品数は950点以上。車外には新鮮な果物や野菜、車内には食料品、たばこ、新聞、せっけん、コンドームなどが並ぶ。

 子連れで来ていたヤスミン・シュナイダーさん(34)は「足りないのはおむつとウエットティッシュだけ」と話した。

 バスは高齢者が集まって、買い物をしながらおしゃべりをする交流の場にもなっている。

 独り暮らしのウルズラ・ザオアーさん(85)は「買い物が終わったら、ベンチに腰掛けて少し話をする」と語った。

■村々をつなぐ

 バスは月曜から土曜にかけて600キロを移動し、23の村に立ち寄る。バスの管理会社によると、価格はレーベの実店舗と同じだ。

 レーベは2025年3月に実証を終えた後、サービスを拡大するかどうか決める計画だ。(c)AFP/Jean-Philippe LACOUR