【7月11日 AFP】ウクライナ北部チェルニヒウ(Chernigiv)州で週末、爆撃で破壊された建物に大勢の若者が集まった。周囲にはクラブミュージックが鳴り響く。

 これは普通のパーティーではない。がれきを撤去する復興支援ボランティアの一環だ。クラブのパーティーに行くような格好をした若者が列をつくり、音楽に合わせて破壊された建物のれんがをバケツリレーしていく。

 DJのドミトロ・トロフィメンコさん(31)は、これが若者なりの支援の一例だと話した。

「Repair Together(共に復興を)」と呼ばれるボランティアの取り組みが始まったのは昨年。数週間にわたってロシア軍の支配下に置かれるか、戦闘の最前線になっていたチェルニヒウ州各地で実施されてきた。

 主催者の一人、ボグダン・ビエリャイエフさん(29)は「地元当局と連絡を取り合い、解体が必要な建物や住所のリストをもらっている」と説明した。

 がれきの撤去が終わると、建設業者が作業に取り掛かる。

■「体を動かし、人と交流するのは戦時下では大事」

 ボランティアの大半は、首都キーウや周辺地域から来ている。

 ビエリャイエフさんによると、今回は350人ほどが参加した。平均年齢は25歳前後だという。

 サングラスをかけ、ヒョウ柄のスカーフを頭に巻いて作業していた女性(28)は、普段は農業関係の仕事をしている。参加理由は「愛国心から」だと話した。

「残念ながら、私の故郷は今(ロシア軍に)占領されている。金銭的な協力しかできないから、こういうやり方で埋め合わせをしているつもりだ」

 働いた後は、リラックスタイムだ。若者たちは通常は夏至の日に行われる伝統的な祭り「イワン・クパーラ(Ivan Kupala)の夜」に参加し、近くの湖で泳いだり、刺しゅう入りの服を着て花輪をかぶったり、キャンプファイアを囲んで踊ったりして過ごした。

 グラフィックデザイナーの女性(30)は、こうした集まりは「さまざまなネガティブな感情」を解消するのに役立っていると指摘した。

「屋外でずっと体を動かし、仲間や人と交流するのは戦時下ではとても大事なことで、心の健康が保たれる」と語った。

「今起きていることを考えると居ても立ってもいられなくなる。でも、これが一番建設的で、危害を与えずに発散できる方法だ」と話した。

 映像は8日撮影。(c)AFP/Daria ANDRIIEVSKA