【6月28日 AFP】フランス・パリ郊外で27日、交通取り締まりでの停止命令を無視した17歳少年を警察官が射殺した。警察の武器使用をめぐる問題が噴出し、仏社会に大きな衝撃が走っている。

 検察によると、少年は27日朝、レンタカーでナンテール(Nanterre)を運転していたが、複数の違反を犯したとして警察に車両の停止を求められた。

 ソーシャルメディアで拡散している動画には、車両の停止を求める警察官の姿が捉えられていた。うち1人は窓ガラス越しに運転手に向けて銃を構えている様子が見て取れる。車両が発進すると、銃を構えていた警察官が至近距離から発砲しているのが分かる。AFPはこの動画が本物だと確認している。

 車両は数十メートル走行し、道路脇に衝突。当時、車内には他に2人の同乗者がいた。

 駆け付けた救急隊員が蘇生を試みたが、撃たれた少年は間もなく死亡した。

 ナンテールの検察当局によると、発砲した警察官は過失致死容疑で拘束された。

 少年の家族の弁護士はニュース専門放送BFMに、すべての関係者は捜査結果を待たなければならないが、動画からは「警察官が冷酷に少年を殺害した様子が分かる」とし、「いかなる合法的な自衛行為からもかけ離れている」と主張した。

 さらに、警察が当初、少年が警察官を車でひこうとしたと「うそをついた」と家族が訴えていることも明らかにした。

 事件を受けて、警察と地元住民の間の緊張が高まっており、同日夜にはナンテールで行われた抗議デモの参加者が車1台に火を放ち、バス停を破壊した。当局は9人を逮捕したと発表した。