【6月27日 AFP】深刻な経済危機に陥っているスリランカ政府は26日、絶滅が危惧されるサル「トクモンキー」約10万匹を中国に売却する計画を撤回したと発表した。サルの売却をめぐっては動物保護団体などが反発し、30件の訴訟を起こしていた。

 トクモンキーはスリランカの固有種で、国内各地で見掛けられる。だが、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(Red List)では「危機(EN)」に指定されている。公式発表では200万~300万匹のトクモンキーが生息するとされているが、個体数が大幅に水増しされている可能性があると指摘される。

 マヒンダ・アマラウィーラ(Mahinda Amaraweera)農相兼野生動物・森林保護相は今月、中国が国内の1000か所の動物園のためにトクモンキー10万匹を欲しがっており、トクモンキーの売却は農作物被害の解決策になると説明していた。

 だが、野生動物保護局は26日、控訴院に輸出の中止を伝え、環境団体や動物保護団体などが起こした30件の訴訟の終了を求めた。

 スリランカは昨年4月、対外債務460億ドル(約6兆6000億円)を抱え、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥り、破産を宣言。今回、史上最悪の経済危機のさなかにサル売却計画が持ち上がった。取引の詳細は明らかにされていない。

 メディアでは、中国が大量のサルを医学研究目的に使うのではないかという臆測も報じられていた。(c)AFP