【6月27日 AFP】ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)の創設者エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は26日、同社部隊のモスクワへ向けた進軍により、同国内における「非常に深刻な安全保障上の問題」が露呈したと指摘した。

 プリゴジン氏は反乱の目的について、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権の転覆ではなく、苦境に立たされたワグネルを救い、ウクライナ侵攻で「非常に大きな過ち」を犯した軍指導部の責任を追及することにあったと説明した。

 一方で、ロシア南部からモスクワへ向けた高速進軍が可能だったことで、安全保障上の深刻な問題が浮き彫りになったと主張。ワグネル部隊は、進路上にある空軍基地など「すべての軍事施設」を制圧しながら、モスクワまで200キロの地点まで迫ったと語った。

 進軍中は、国旗やワグネルのシンボルを手にした市民から歓迎を受けたとしている。

 また、ロシアには2部隊を送り込んだと説明。1部隊がロストフ(Rostov)州の州都ロストフナドヌー(Rostov-on-Don)にあるロシア南部軍管区司令部を一時的に制圧、もう一方の部隊がモスクワに向かったという。

 反乱を中止したのは、モスクワに迫っていた部隊による偵察の結果、「多くの血が流されるのが明らかになったためだ」と話した。

 進軍中に地上で死者は出なかったとする一方、ロシア軍のヘリコプターなどを撃墜したことについては、「攻撃を余儀なくされたのは遺憾だが、向こうが爆弾を落とし、ロケット弾で攻撃してきたからだ」と正当化した。

 ワグネル戦闘員数人が負傷したほか、「自らの意思で」反乱に加わったロシア軍正規兵2人が死亡したとしている。

 戦闘員は進軍の「最終目的」を承知の上で参加したのであり、「強制されたわけではない」と強調した。(c)AFP