【6月25日 AFP】世界遺産「ナスカの地上絵(Nazca Lines)」で知られるペルー南部の砂漠地帯では、約1700年前に築かれた石造りの送水路が今も農地を潤している。深さ15メートルに達する穴と迷路のように入り組む水路が、遠く離れた山間部から約900世帯の自給自足農家に水を送っている。

 ジャガイモ農家のニコラス・キスペさん(39)は「かんがいに役立っている」と話す。「高度な技術を持っていた古代の農民たちのおかげだ」

 ペルー当局によると毎秒18~20リットルの水が流れており、農家は年間32ドル(約4500円)程度を払って使用している。

 古代水工学の驚異と称賛される一連の水路について、ペルー政府は国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産への登録を申請している。ユネスコによると、ペルーの砂漠地帯ではこの水路網が建設されるまで人が住むことができなかった。

 送水路は計42本あり、ナスカの地上絵と同じ人々によって造られたと考えられている。考古学者のアブドゥル・ヤッリ氏によると、今でも29本が稼働している。

 送水路の維持管理で地元当局を支援する多国籍企業AJEグループ(AJE Group)の広報担当者は「建築と工学による芸術作品で、今も機能している。何百万トンもの砂を除去する必要があったはずだ」と語った。

 映像は5月撮影。(c)AFP/Carlos MANDUJANO