【6月15日 東方新報】中国でチベット自治区(Tibet Autonomous Region)への観光客が増加している。中国のゴールデンウイークにあたる労働節連休(今年は4月29日~5月3日)期間中、チベット自治区への観光客は116万人を超えた。コロナ禍以前の2019年と比べても、137%増と大幅に増加。観光収入も8億4800万元(約165億6475万円)を数えた。

 チベット自治区の区都ラサ市(Lhasa)は、富士山の頂上に近い高度に位置する「天空の都」。北京から訪れた孫璐(Sun Lu)さんは9日間、ラサ観光を楽しんだ。旧市街のジョカン寺(大昭寺)やバルコルストリート(八廓街)、チベット仏教ゆかりのポタラ宮(Potala Palace)…。「多くの場所を訪れ、チベットの文化や習慣を学びました。民族衣装を着て記念写真も撮りました。高山病が心配でしたが、目立った症状もなかったです」

「タシデレ!(チベット語で「こんにちは」「おめでとう」などの意味)」。ラサ市内のチベット料理店では、店員が笑顔で観光客に声をかけ、チベット族のお祝いの印の布「ハダ」をプレゼントしている。店で人気なのは、「チベット式火鍋」。チベットを象徴するウシ科のヤクの肉を使い、中国各地で人気の火鍋形式で味わう。チベットの文化と流行を取り入れた料理は観光客を引きつけている。

 チベットへの旅行というと、2006年に全面開通した青海チベット鉄道を利用してラサを訪れるイメージだが、最近は国道219号や国道318号ルートを活用し、自治区全体の観光振興も広がっている。行政部門の観光担当者は「国道219号ルート周辺には、標高8000メートルを超える5つの峰、20か所の氷河地帯、19の大規模な湖がある。チベットの自然や神秘を体験するのに適している」と強調する。

 今年第1四半期(1~3月)にチベット自治区を訪れた国内外の観光客は前年同期比39%増の255万7400人、観光収入は42%増の20億3000万元(約396億5382万円)と、冬季にもかかわらず大きな伸びを見せた。昨年の夏はチベット自治区もコロナ禍に遭い、ラサ市街地の一部も都市封鎖措置が取られた時期があった。コロナ禍が一段落し、「天空の都」がこれまで以上のにぎわいを取り戻している。(c)東方新報/AFPBB News