【5月1日 AFP】フィリピンのフェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)大統領は1日、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領との会談に先立ち、フィリピンが軍事活動の「中継地」となることは認めないと述べた。

 比政府は4月、2014年に米国との間で締結された「防衛協力強化協定(EDCA)」に基づき合意している五つの基地に加え、新たに四つの基地の使用を米軍に許可すると発表した。米国は係争海域となっている南シナ海(South China Sea)など周辺地域における中国の強硬姿勢に対抗する構えだ。

 だが、マルコス氏はワシントンへ向かう機内で報道陣に対し、「フィリピンが巻き込まれるような他国の挑発行為は一切望んでいない」と述べ、「いかなる軍事活動においても、フィリピンを中継地として利用することは認めない」と明言した。

 南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)沖では4月23日、フィリピンの巡視船に中国海警局の船が急接近し、衝突寸前となる事態が発生した。これを受け、米国は中国に対し「挑発的かつ危険な行動」をやめるよう要求した。

 比大統領府によると、マルコス氏はこの事態についても「衝突寸前で、双方に死傷者が出る恐れがあった。それこそが、われわれの避けたいことだ」と述べた。

 年初に訪中したマルコス氏は習近平(Xi Jinping)国家主席との首脳会談で、南シナ海をめぐる問題について「直接連絡できる」ホットラインを開設することで合意した。

 今回マルコス氏はこの合意を順守するよう中国側に要請。比側はすでに開設準備を進めるチームを結成したが、中国側はまだだと指摘した。(c)AFP