【4月24日 AFP】国連(UN)の世界気象機関(WMO)は21日、気候変動の影響に関する年次報告書を発表し、世界の氷河が昨年、劇的なペースで融解したことを明らかにした。WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は、氷河を救う試みは「すでに敗北した」との見解を示している。

 WMOによると、過去8年間の気温は観測史上最高を記録。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの濃度も過去最高に達した。南極の海氷面積は過去最小に縮小し、欧州の一部氷河の融解ペースは「文字通り、図表をはみ出すほど高かった」という。

 2021年のCO2の世界平均濃度は415.7ppmと、産業革命前の1750年比で49%増加。メタンは162%増、一酸化二窒素は24%増となった。データからは、22年も増加を続けたことが示されている。

 ターラス事務局長はAFPに対し、「CO2濃度がすでにこれほど高まっていることから、われわれは氷河(を救う)試みにすでに敗北した」と説明。スイスのアルプス山脈(Alps)では昨年夏、氷河融解ペースが過去最高の6.2%に達したと指摘した。

 映像前半は2014~22年に撮影された氷河融解の資料映像。後半は4月20日に撮影したターラス事務局長へのインタビュー。(c)AFP