【4月11日 AFP】中東イエメン南西部タイズ(Taez)の市場では、名産の薫製チーズがあちこちで売られている。観光客は必ずと言っていいほど、棚に積み上げられたこのチーズを土産として購入していく。

 チーズ職人のアブデッサラーム・タービトさんは、この道30年のベテランだ。「私たちの祖父や父から受け継いだ味だ」と話す。「この地方の名産で、私たちの収入源だ。できる限り伝えていきたいと考えている」

 タイズのチーズは通常、夕方に作られる。日中に集めた羊の乳は、乳離れしていない子羊や子牛の胃袋に入れて凝固させる。

「まず羊から乳を搾って、家でヤファと呼ばれる材料を入れ発酵・凝固させる。1日寝かせ、小枝に火を付け薫製にする。薫製にすることで香りや風味が付く。それを市場に持っていく」とタービトさんは説明した。

 薫製の際にさまざまな種類の植物を用いることで独特の茶色と風味が付くほか、長期保存も可能になる。

 プロセスチーズも市場に出回っているが、伝統の薫製チーズが今も地元の人に愛され、人気を集めている。(c)AFP