【4月4日 AFP】シリア内戦がこう着する中、北西部イドリブ(Idlib)県の反体制派支配地域で、ロシア人のジハーディスト(イスラム聖戦主義者)が武器をワサビに持ち替えて小さなすし店を開業した。

 イスラム教徒が大半を占めるロシア南部ダゲスタン(Dagestan)共和国出身のイスラム・シャフバノフさん(37)が「ジハード(聖戦)に参加するため」シリアに渡ったのは2015年。戦争が長期化する中でシリア政府は国土の大半を反体制派から奪還し、残る前線でもほぼ戦闘行為が停止して、多くの外国人戦闘員が活動の場を失った。

 ひげを蓄えたシャフバノフさんはAFPに対し、「それでこのすしレストランを開いた」と語った。店内には、魚のイラストにアラビア語や英語、ロシア語で宣伝文句が書かれたポスターが張られている。

 シャフバノフさんは5年ほど前まで、反体制派組織「ファイラク・アルシャム(Faylaq al-Sham)」やジハード組織各派と共に戦っていた。

 ファイラク・アルシャムはイスラム教スンニ派(Sunni)の武装組織で、イスラム組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」のシリア支部に近いとみられており、シリア内戦に介入したトルコ側に立って活動。アレッポ(Aleppo)やイドリブなどで、ロシアの支援を受けたシリア政権側部隊と激戦を展開した。

 パキスタンやアフガニスタン、インドネシア、サウジアラビアなどでの滞在経験があるシャフバノフさんは、各地を巡った際に日本食を味わったことがきっかけとなり、このレストラン「スシ・イドリブ(Sushi Idlib)」を開業することにしたという。

 シャフバノフさんは、シリアで最後に残った反体制派支配地域に開店した初めてのすし店だと胸を張る。保守的なこの地域では多くが人道支援に頼っている。約300万人が住み、そのほぼ半数が12年に及ぶ戦争の影響で避難を余儀なくされている人々だ。